会社員が副業を始めると、所得税だけでなく住民税にも影響が出ます。これにより、副業が会社に知られてしまうのではないかと不安になる人もいるのではないでしょうか。
この記事では、住民税を通じて副業が勤務先に伝わる理由や、確定申告が必要となるケース、住民税に影響しにくい副業を紹介します。
会社員の副業と住民税の関係は?

会社員が副業をすると、所得税だけでなく住民税の扱いにも影響があります。住民税は本業の所得だけでなく、副業の所得にもかかってくるため、確定申告をするうえでも仕組みを理解しておく必要があります。
はじめに、住民税と副業の基本的な関係を整理しておきましょう。
住民税と所得税の違い
所得税と住民税はいずれも所得を基に計算されますが、課税主体や仕組みが異なります。
所得税は国に納める国税で、給与所得だけでなく事業所得や不動産所得など幅広い所得に課税されます。給与の場合は源泉徴収され、年末調整や確定申告で過不足を精算します。
住民税は地方自治体に納める地方税で、前年の所得に課税されます。所得税と住民税は収める場所、税の資質は異なるものの、どちらも「所得がある場合にかかる税金」です。
副業収入にかかる住民税の仕組み
住民税は前年の所得に応じて課される「所得割」と、自治体ごとに定められる一定額の「均等割」で構成されます。
会社員が副業をした場合、住民税は本業の所得と合わせて計算されるので、副業と住民税は切っても切れない関係にあるのです。住民税の課税対象となるのは、フリーランスなどの事業所得のほか、アルバイトなどの給与所得も含まれます。
副業の種類がなんであれ、所得が増えれば住民税も増えるということを覚えておきましょう。
住民税で副業が知られてしまう理由

会社員が副業をすると、住民税の通知を通じて勤務先に知られてしまうことがあります。何かの手続きをしたわけでもないのに知られてしまう理由は、会社員の納付方法が関係しています。
ここでは、住民税により副業が知られる理由と、勤務先を通さずに納付する方法を見てみましょう。
会社員は「特別徴収」で住民税を納めているから
住民税の納付方法には「普通徴収」と「特別徴収」の2種類があります。
普通徴収は、会社などを通さず自分で納付する方法です。個人事業主や年金受給者などはこの方法で納付します。主な納付方法は納付書や口座引き落とし、クレジットカード払いです。
特別徴収は、給与から天引きして自治体へ納付する方法で、会社員は原則この方法で納付します。
副業が給与所得だった場合、本業と副業の所得を合算して算出された住民税額が本業の勤め先に通知されるため、これにより副業していることが知られてしまうのです。
事業所得の場合は給与所得ほど勤め先に知られるリスクは低くなりますが、収入を申告していないことは国や自治体に知られてしまいます。
所得を隠すことは、副業が見つかること以上に大問題となることを肝に銘じておきましょう。
確定申告で普通徴収を選べば自分で納付できる
副業分の住民税は、確定申告時に普通徴収か特別徴収かを選択できます。「住民税の徴収方法」の欄で「普通徴収」にチェックを入れることで、副業の所得にかかる住民税のみ自分宛に納付書が届くようになりますよ。
ただし、副業の内容や金額によっては自治体の判断で特別徴収にまとめられるケースもあるため、必ず希望どおりになるとは限りません。
重要なのは、隠すことではなく「正しい手続きで余計な誤解を避けること」です。副業を始めたら、住民税の納付方法も決めておきましょう。

事業所得・雑所得の確定申告と住民税の申告方法

副業を始めると住民税や所得税は必然的に増えますが、確定申告は必ず必要になるわけではありません。
所得税の申告(確定申告)が必要になるのは、副業の年間所得が20万円以上ある場合です。しかし、住民税ついてはこの「年間所得20万円」は関係しません。
ここでは、事業所得と雑所得の確定申告と住民税の申告方法を紹介します。
年間所得が20万円以上ある場合は確定申告が必須!
副業で得た所得が年間20万円を超えるときは、会社員でも確定申告が必要です。
ここでいう「20万円」は収入から必要経費を差し引いた金額を指すため、収入が50万円あったとしても、経費の金額によっては確定申告が不要となります。
事業所得とは、WebライターやWebデザイナー、プログラマーなど、事業として得た報酬・利益です。一方の雑所得は、ハンドメイド製品の売り上げや原稿料、アフィリエイトなどが該当します。
住民税を自分で納めたい場合は、確定申告書の「住民税の徴収方法」で「普通徴収」を選んでくださいね。


年間所得20万円以下でも住民税の申告は必要
副業で得た年間所得が20万円以下であれば、確定申告をする必要はありません。しかし、住民税については金額にかかわらず申告が必要となる点に注意しましょう。
住民税は「前年の所得」に基づいて課税されるため、副業の所得を自治体に正しく申告しなければなりません。確定申告を行わない場合でも、市区町村役場に住民税の申告書を提出する必要があります。
申告を怠ると本来より少ない税額で処理されてしまい、追徴課税や延滞税が発生しやすくなるので注意しましょう。
副業が赤字の場合は確定申告しなくてもOK
経費が収入を上回って赤字になった場合は、確定申告は原則として必要はありません。
ただし、青色申告をしている人は、赤字を翌年以降の黒字と相殺できる「損益通算」や「繰越控除」を活用できるため、確定申告をするメリットがあります。ただし、損益通算をすると所得税額が変わるので、勤め先に副業していることが知られてしまう点に注意しましょう。
一方、雑所得扱いの副業で赤字が出た場合は損益通算ができないため、確定申告をしても節税効果はありません。副業の形態によって扱いが異なるため、自分の所得区分を確認した上で確定申告を行いましょう。

給与所得の副業は住民税と確定申告に注意しよう

アルバイトなど給与が支払われる副業は、事業所得と確定申告や住民税の扱いが少し異なります。給与所得は本業と同じ「給与所得控除」の対象となり、条件によっては確定申告が不要なケースもあります。
ここでは、給与所得の副業をした場合の注意点を見てみましょう。
年間所得が20万円以上の場合
給与所得年間が20万円を超える場合は、事業所得と同じように確定申告が必要です。
企業に雇用されている人は年末調整で所得税を精算しますが、年末調整は1カ所でしか行えません。そのため、副業の年間所得が20万円を超える場合は、確定申告をして自ら所得税を納める必要があります。
給与所得は事業所得と違い、確定申告時に「普通徴収」を選べません。原則として本業の給与から特別徴収されるため、副業をやっていることは会社に知られます。
年間所得が20万円以下の場合
副業の年間所得が20万円以下であれば、確定申告をする必要はありませんが、住民税は申告する必要があります。
住民税の申告に必要なのは、副業先から渡される源泉徴収票、住民税申告書、本人確認書などです。これらを持って役所に行って手続きをするほか、郵送・FAXなどの方法もあります。
自治体によって対応する申請方法が変わるため、事前に確認をしておきましょう。なお、申告期限は毎年3月15日です。
住民税の申告を気にせず取り組める副業はある?

副業自体は許されていても、会社に知られたくないと思う人もいるでしょう。副業の中には、住民税に影響しにくいものもあります。
ここでは、住民税へ影響が少ない副業の種類と、それぞれの特徴を紹介します。
株式・投資信託などの資産運用
株式や投資信託などの資産運用で得た利益は、「配当所得」や「譲渡所得」として所得になりますが、証券会社の特定口座(源泉徴収あり)を利用すれば自動的に税金が処理されます。
そのため、税金の申告や納付の手間がなく、本業の勤め先に通知されることも基本的にありません。
配当控除を受けたい場合や損益通算で節税を行いたい場合には確定申告が必要ですが、仕組みを理解して制度を使い分ければ、安心して取り組めるでしょう。
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フリマアプリやポイ活などの小規模収入
フリマアプリでの不用品販売は「生活用動産の譲渡」と見なされ、基本的には課税対象外です。お金が手元に入ってはくるものの、税金には影響しないため、お金を増やす賢いやり方といえるでしょう。
ただし、仕入れて転売するなど営利目的の取引は「事業所得」や「雑所得」となり、所得が増えれば課税対象になります。
ポイ活で得られるポイントや謝礼は雑所得にあたり、原則として課税対象です。しかし、少額であるケースが多く、住民税や確定申告に大きな影響を与えることは少ないでしょう。
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副業を禁止されている場合はやらない判断も大切
副業を許可する会社は増えてはいるものの、就業規則で禁止されている会社もあります。住民税の申告方法を工夫しても、100%見つからないという保証はありません。
会社に副業が見つかると、最悪の場合は懲戒処分の対象になることもあります。収入を増やすために副業を始めた結果、本職を失うことになっては本末転倒です。
副業はリスクを負ってまでやるものではありません。始める前に必ず就業規則を確認し、許可されている場合のみ取り組むようにしましょう。
まとめ|副業分の住民税は確定申告で徴収方法を変えよう!
会社員が副業をすると、本業と副業の所得を合わせて住民税が計算されます。会社員の住民税は原則として特別徴収されるため、住民税が増えると副業をしていることが勤め先に知られます。
副業は「年間所得が20万円以上」になると確定申告が必要です。確定申告書には住民税の納付に関する欄があり、「普通徴収」にチェックすることで納付を自分で行えるようになります。
事業所得と給与所得で住民税の納付方法が変わるので、副業を始めるときは住民税を含む税金の扱い方を調べておきましょう。
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