ふるさと納税は、寄附を通じて税金の控除を受けられる制度です。節税をしながら産地特有の返礼品を受け取れる、地域を応援できるため、会社員にとっても大きなメリットがあります。
しかし、副業をしている会社員の場合は「控除の申請」に注意が必要です。この記事では、副業とふるさと納税、確定申告の関係を解説します。手続きの方法も紹介しますので、ふるさと納税をしている人、これからする人はぜひ参考にしてください。
ふるさと納税は副業する会社員にメリットがいっぱい!

副業をすると収入が増えますが、それにより税金も増えることが気になる方もいるのではないでしょうか。そのようなときに活用したいのが「ふるさと納税」です。はじめに、ふるさと納税の基本と、副業との関わりを解説します。
ふるさと納税とは
ふるさと納税は、全国の好きな自治体に寄附をすることで翌年の税金から控除が受けられる制度です。自己負担は2,000円のみ、それ以外の寄附額は所得税や住民税から差し引かれます。
寄附先の自治体からは返礼品が届くため、節税と特産品などの恩恵を同時に受けられるのが特徴。節税できること以上に、返礼品を楽しみしている人も少なくありません。
控除の対象となる上限額は、給与や副業収入などを合算した課税所得を基に計算されます。制度を正しく理解すれば、納税と地域貢献を楽しみながらできますよ。
副業の収入で控除上限額アップ!
副業している会社員がふるさと納税をする一番のメリットは、控除上限額が上がることで節税効果が高まることです。
ふるさと納税の控除額は、収入から計算される課税所得を基準に決まります。副業をして収入が増えると課税所得も増えるため、自動的に控除上限額が上がるのです。
本業だけの状態で寄附をしても節税効果を得られますが、副業をして収入を上げたほうがより効果を感じやすくなります。「収入は増やしたいけど、税金は減らしたい」という人に、ふるさと納税はぴったりです。
ふるさと納税のメリット
ふるさと納税の魅力は、控除による節税効果だけではありません。
寄附をすると、寄附先の自治体から特産品やサービスといった返礼品が届きます。お米や果物、肉、魚など産地ならではの味覚を楽しめるほか、旅行券や宿泊券を選べばお得にレジャーを満喫できます。
寄附先を自由に選べるため、応援したい地域や好きな自治体を支援できるのも大きなメリットです。単なる税金の支払いではなく、自分の意思で地域貢献ができる点は、会社員にとってもふるさと納税を続けたくなる理由のひとつといえるでしょう。

ふるさと納税と確定申告の関係

副業をしている会社員がふるさと納税を行う際、注意しなくてはならないのが「確定申告」です。ふるさと納税の手続きは、確定申告をする・しないで手続きの流れが変わります。ここでは、副業する会社員に確定申告が必要になる条件と、申告時の注意点を解説します。
副業をする会社員に確定申告が必要になる条件
会社員は会社で年末調整をするため、基本的には確定申告をする必要はありません。しかし、副業をしている場合は「副業の年間所得が20万円以上」あれば確定申告が必要です。
副業にはアルバイト(給与所得)、データ入力などの業務委託やアフィリエイト(雑所得・事業所得)など種類がありますが、この「年間所得が20万円以上」はどちらの場合にも適用されます。
副業の所得により確定申告をする人は、ふるさと納税の控除申請を確定申告の中で行う必要があります。

確定申告とワンストップ特例制度は併用できない
副業の所得が年間20万円を超え確定申告する場合、ワンストップ特例制度が利用できなくなります。
ワンストップ特例制度は、確定申告をせずにふるさと納税の寄附金控除が受けられる制度で、対象者は確定申告をしない人、ふるさと納税をする1年間の寄附先が5団体以内の人です。
確定申告をする人はこの制度を利用できないため、確定申告を行った年は自動的に無効になります。制度の仕組みを理解しておけば、「控除が反映されない」というミスを防げますよ。
控除上限額をシミュレーションサイトで確認しよう!
ふるさと納税の控除上限額は、年収や家族構成、住宅ローン控除や医療費控除の有無などによって変わります。
計算式に当てはめれば大まかな目安は算出できますが、控除上限額はその年に寄附した分は「寄附した年の所得税」と「翌年度の住民税」から差し引かれるため、寄附をする段階で正確な金額は算出できません。
そこで便利なのが、各ポータルサイトが提供しているシミュレーションツールです。年収(給与+副業)、家族構成、住宅ローン控除や医療費控除といった条件を入力するだけで、おおよその控除上限額の目安を確認できます。
控除上限額内で収めたいという方は、寄付をする前に必ず自分の控除上限額を確認しておきましょう。
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ふるさと納税と確定申告それぞれの手続き方法

ふるさと納税と副業どちらもする場合、確定申告が必要かどうかによって手続きの流れが変わります。ここでは、確定申告をするケースとワンストップ特例を使うケース、それぞれの手続き方法を解説します。
【確定申告】副業の年間所得が20万円以上
副業の所得が年間20万円を超える場合、所得税の申告とふるさと納税の寄附金控除の申請を確定申告でまとめて行います。
寄附先の自治体から届く「寄附金受領証明書」を用意し、確定申告書に寄附金控除の欄へ記入します。
副業の収入・所得については、給与所得であれば給与の欄に、雑所得や事業所得であれば事業の「雑」や「営業」にそれぞれの金額を記入しましょう。源泉徴収票に書かれている源泉徴収額も、忘れずに記入します。
e-Taxを利用すれば、確定申告書に控除証明書を添付してオンライン提出が可能です。申告期限は原則として翌年の3月15日までで、この期限を過ぎると控除が受けられなくなるため注意しましょう。

【ワンストップ特例制度】副業の年間所得が20万円以下
副業の所得が年間20万円以下で、確定申告の必要がない場合は「ワンストップ特例制度」を利用します。この制度を使えば、確定申告をしなくてもふるさと納税の控除を受けられますよ。
手続きは、「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を寄附ごとに寄附先の自治体へ提出するだけで完了します。提出期限は寄附をした翌年の1月10日までで、マイナンバーカードや本人確認書類の添付が必要です。
なお、寄附先が5自治体を超えると特例は利用できないため注意してくださいね。
2025年10月からポータルサイトのポイント還元が禁止に

2025年10月1日から、ふるさと納税ポータルサイトを通じたポイント還元が全面的に禁止されます。これまで一部のサイトでは、寄附額に応じて次回以降に使えるポイントを付与していましたが、総務省が制度の公平性を保つために規制を強化しました。
ポイント還元のメリットはなくなるものの、寄附金控除や返礼品といった本来の仕組みに変化はありません。ふるさと納税の基本的なメリットは継続して得られるので、節税対策としてふるさと納税を活用しましょう。
まとめ|副業とふるさと納税をする会社員は忘れずに確定申告をしよう
ふるさと納税は、節税と地域貢献を両立できる有益な制度です。副業の収入があることで控除上限額が増え、寄附の選択肢も広がります。
通常、会社員がふるさと納税をした場合は「ワンストップ特例制度」で控除の申請をしますが、副業の年間所得が20万円以上ある場合は確定申告と一緒に控除の申請をする必要があります。
副業の所得がいくらなのかによって手続きが変わるため、日頃から収支を管理しておきましょう。
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